以前のコラムでは、法人成りの概要について2回に分けてご紹介致しましたが、今回は法人成りの具体的なメリットとデメリットについて、個人事業の場合と比較してご紹介させていただきます。

法人成りの6つのメリット
法人成りには様々なメリットがありますが、大きく分けると税制上のメリットと、社会的信用向上のメリットがあります。法人成りのメリットを個人事業の場合と比較して以下にて解説致します。
①利益に対する税率
法人:原則として25%程度
個人:累進課税制度で最大55%の税率
②税金節約のアイデア
法人:役員給与、役員退職金、生命保険や社宅の活用など、経費の幅が広がり節税対策がしやすい
個人:収入獲得に直接要した費用のみが経費(必要経費)であり、経費の幅が法人と比較して狭い
③赤字の繰り越し
法人:10年間繰り越すことができる(翌期以降の黒字と相殺して、納税を抑えることができる)
個人:3年間繰り越すことができる
④消費税の免税選択
法人:法人成りをすると免税事業者に戻れたり、インボイス制度の特例を利用することができる
個人:基準期間(2年前)の売上高が1,000万円超である限り、消費税の納税義務者
⑤社会的な信用力
法人:規模の大きな企業との取引、金融機関からの融資、他者からの出資、雇用などで有利
個人:法人組織と比較すると信用力は劣る
⑥その他:事業の多様性
法人:決算期を自由に設定できる、他者からの出資を受けられる、M&Aしやすいなど
個人:法人組織と比較すると限定的
法人成りの4つのデメリット
メリットの一方で、個人事業と比較して、コスト面、運営やキャッシュの自由度といったデメリットがあります。こちらのデメリットを受け入れてなお、メリットがあるかどうかの検討が必要です。
①設立費用
法人:株式会社の設立で約28万円
個人:特段費用はかからない
②運営維持コスト
法人:赤字の場合でも住民税 7万円、決算書や申告書の作成・提出費用が個人より負担増
個人:法人組織と比較するとコスト安
③使えるお金の自由度
法人:プライベートの支出は法人の経費とならず、役員報酬から支出する(ただし、制限あり)
個人:事業主が自由に使うことができる
④社会保険の加入
法人:強制加入であり負担が少なくない
個人:5人未満は任意加入のため負担を抑えることができる
上記、法人成りのメリットとデメリットをご紹介させていただきましたが、クリニックによって個別の事情がございますので、ご不明点等ございましたら、
ご遠慮無くお問合せくださいませ。