動物病院経営の特徴に合わせた「法人なり」に関わる節税の具体的な手法をご紹介致します。

法人なりによる節税の具体な手法

PART1では動物病院を法人なりさせることの概要に触れさせて頂きました。PART2では、多くの方が一番気にされている節税の手法についてご紹介いたします。
なぜ法人なりをすることが節税となるのでしょうか。


大きくは
① 法人税と所得税の税率差
② 法人税と所得税の経費の範囲
③ 消費税の免税期間を利用できる 
       の3点によって、税金を抑えることが可能となります。


法人税と所得税の税率差

個人事業で生じた利益に対しては所得税が課税されるのに対して、法人で生じた利益に対しては法人税が課税されます。
所得税も法人税も利益の額によって税率が高くなっていき、利益が出れば出るほど高い税率となり、高い税金を課されることになりますが、ご注目していただきたいのは、両者の最高税率です。
法人税は23.2%であるのに対して、所得税はなんと45%となっています。同じだけ利益が出た場合、法人なりをしている場合の方が税金は低く抑えられます。

法人税と所得税の経費の範囲

個人事業と法人では事業の経費とできるものの範囲が異なり、法人の方が経費とできるものが大きくなっています。
具体的には・・・


・院長先生ご自身へのお給料
・お仕事を手伝ってくれている親族へのお給料
・ご自身が勇退なさるときの退職金
・ご自身にかけている生命保険
・ご自身がお住まいになっている住宅の家賃


などが、法人では経費として認められ、個人事業では認められないものです。
特にお給料については、利益の額を個人と法人に分散させることで、どちらも低い税率を使えるということになり、大きな税効果が期待できます。

消費税の免税期間を利用できる

一定の売上がある事業者は、消費税を納める必要があります。具体的には2年前の売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じることになります。
現在、消費税を納めている方は身に染みて感じていらっしゃると思いますが、この消費税はかなり経営にダメージを与えます。患者様から預かった消費税を代わりに納めるだけなので、この分を別にして取っておけばよいだけなのですが、分かっていてもできないのが実情ではないでしょうか。納める必要がなかった方が、いざ納めることとなった時のダメージはかなりのものとなります。
では、なぜ法人なりが消費税の節税となるのでしょうか。冒頭に記載しましたが、消費税は2年前の売上高によって納める必要があるかどうかが決まります。

法人と個人事業では別の事業者と判断しますので、現在消費税を納める必要がある方でも法人なりをしてしまえば、消費税を納める義務を最大で2年間遅らせることができます。

法人なりにあたって

以上のように法人なりをすることで、税金を抑えることができるということはお分かりいただけたかと思います。また、ここに記載したものはほんの一例で、これ以外にも法人なりで可能な節税手法はいくつもあります。

しかし、PART1でも触れたように法人なりをすることによるデメリットもありますので、そのリスクやタイミングについてしっかりとシミュレーションを行ったうえで検討することをお勧め致します。