動物病院の税金対策に真っ先にお考えいただきたい「王道の節税対策」をご紹介致します。
王道の節税「良い節税」とは?
王道の節税における「良い節税」とは以下を満たす手法を言います。
①法律に基づいている
②クリニックの現在の状態のみならず将来の業績予測、キャッシュ予測に基づいている
③院長先生の個人の所得税・社会保険料も考慮している
④初期対策後に、定期的な業績管理を経てメンテナンスされている
以前のコラムで
「手っ取り早く税金が消えてなくなく魔法の手法はない」
「しっかり対策をしないと、逆に経営を苦しめてしまう」ことを強調しました。
①法律に基づいている
法律に基づいていない=脱税行為は必ず手痛いしっぺ返しがあると断言できます。
「知人がやっている」というお話を良く聞きますが、たまたまバレていないだけと考えるのが自然です。
消滅時効というものもありますが、現在は7年となっており、その間に税務調査が来ない確証はありませんので、まず期待しない方が良いと考え ます。
②会社の現在の状態のみならず将来の業績予測、キャッシュ予測に基づいている
「お金が掛かる節税」の場合は、現在の状態のみならず将来の業績やキャッシュの予測をしておく必要があります。
一般的な動物病院は春~夏の繁忙期とそれ以外の閑散期では、資金繰りに差があります。
当然、使うお金が多ければ多いほど税効果がありますので、税金を減らす対策をすればするほど、手元のキャッシュは減っていきます。
特に、生命保険を使った手法は効果が大きい一方で、10年~20年の対策で、対策額も総額、数百万~数千万のキャッシュアウトとなりますので注意が必要です。
眼の前の得に流されず、足元を見つめて計画を立てる必要があります。
③院長先生の個人の所得税・社会保険料も考慮している
クリニックを株式会社等の法人化している場合は、節税対策と共に院長先生の個人の所得税や社会保険料も併せて考慮する必要があります。
税理士等の提案にのって、安易に院長先生やご家族の給与や賞与を上げるのは得策ではありませんし、少なすぎるのも問題です。
クリニックの業績をしっかりと把握し、トータルで適正額を算定しないと、法人の税金は節約できたけど、個人の税金・社会保険料負担の方が多くなるといった「あべこべ」な状況になるケースもありますので注意が必要です。
④初期対策後に、定期的な業績管理を経てメンテナンスされている
一旦採用したら永久に適用できる節税対策はありません。
上記②でも指摘しましたが、絶えずクリニックの業績やキャッシュを見ながら、状況に合わせたメンテナンスが必要です。
メンテナンスを怠ったおかげで、業績の悪化を招いたり、ひいては資金不足でクリニック経営が困難になったケースもあります。
節税対策は「定期的なメンテナンスが必要」だと考えて下さい。
「王道の節税対策」総論
「王道の節税対策」を3回に分けてご説明致しましたが、くどいようですが・・・
「手っ取り早く税金が消えてなくなく魔法の手法はない」
「しっかり対策をしないと、逆に経営を苦しめてしまう」
ということを意識していただきたいと考えております。
毎日の診療、院内マネジメントなど、激務に追われる院長先生に、片手間でこれらの対策をするのは困難であると思われます。
効果的な節税対策をしていない、誤った節税で経営をおかしくしてしまったクリニックをいくつも見ています。
是非、信頼できる税理士にしっかりとサポートさせて、業績とキャッシュの状況を把握した上で、貴院の発展に期するような「王道の節税対策」をされること祈念しております。