動物病院経営の特徴に合わせた「生命保険の活用」に関わる節税の具体的な手法をご紹介致します。

目次
生命保険を活用しての節税
法人による節税の代表的な手法として生命保険の活用があります。
個人事業ではいくら生命保険料を支払っても経費とはならず、所得控除として最大4万円の控除が受けられるのみですが、法人の場合は支払った保険料の全額または 半分程度を経費とすることができ、使い方によってはクリニックのリスクを軽減しながら、税金を節約することができます。
保険加入時のポイント
法人で保険に加入を検討する場合、次の3点がポイントとなります。
Point1:保険本来の意味(保障内容)をしっかり考える
Point2:目先の節税だけでは考えない
Point3:保険解約時の出口戦略まで見据える
Point1:保険本来の意味(保障内容)をしっかり考える
法人で保険に加入することを検討すると、まず第一に節税と考えてしまうことが多々あります。しかし、節税効果だけを考えてしまうと「本当に必要な保障」を得られない保険を選んでしまうことがあります。
先ずは、今の状況でどのような保険に加入することがクリニックにとって必要なのか?を考えなければなりません。院長先生の万が一に備える、スタッフの健康状態に備える、クリニックの資金繰りに備えるなどなど。
生命保険は院長先生やスタッフの方に万一のことがあった時にこそ本当の意味が生じます。保険に入っているのに、万一の時に役に立たないということがないように注意する必要があります。
Point2:目先の節税だけでは考えない
「当期はすごく利益が出ているんだけど、何か良い保険はないですか?」よくこのようなご相談を頂戴します。
このようなご相談をいただくとき、ほとんどのケースで「当期の利益を圧縮する」ことばかりに目がいってしまいがちですが、これは大きな落とし穴である可能性があります。
当期の利益の額は当期だけですが、保険料を支払うのは何年も続きます。当期の節税の為の保険が、翌期以降の利益や資金繰りを苦しめないようにする必要があります。
Point3:保険解約時の出口戦略まで見据える
節税の為に加入する保険は、ほぼ解約時の返戻金があります。この返戻金の割合は徐々に上昇してピークを迎え、その後は下降していくことになりますが、このピークのタイミングで解約をすることで、実際に支払った保険料の大部分は返ってきます。
ここで注意していただきたいことは、これまでに経費として計上した分は、解約時に利益になるということです。
これまでに保険料を800万円支払って、400万円を経費としていたとすると、800万円が返ってくるときには(返戻率100%と仮定)これまで経費としていた400万円と同額が利益として計上されることになります。
これを考えないで解約をしてしまうと解約による利益に対して税金がかかってくるので、これまでの節税効果がなくなってしまいますし、解約せずにそのまま継続していたとしても返戻率はどんどん下がっていって、節税効果以上に損をしてしまう可能性があります。
対策として一般的なのは、解約返戻金を院長先生の退職金に充てて利益を圧縮するものですが、加入時に院長先生のライフステージを考慮して運用することをお勧め致します。
保険による節税を検討する際のポイントをご紹介させていただきましたが、保険の設定、取り扱いは非常に個別性が高いので、運用される際は、貴院の状況をしっかり把握したうえでご提案させていただきます。