税務調査の実態を「税務調査対策」シリーズとしてお送りしておりますが、今回は臨場する調査官についてご説明致します。
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」の「彼を知る」ことは重要なことと考えます。 弊所の私見も含んだ一側面かも知れませんが、ご参考いただければ幸いです。

調査官の役職など
調査官の役職、キャリア、通達の解釈など千差万別。その中でも役職やキャリアは事前に「税務職員名簿」「10年職歴」などで確認することができます。
役職は主に4つあり、事務官 → 調査官 →上席調査官 → 統括調査官の順に上位職となっていますが、統括官は基本的に臨場せずに事務官、調査官、上席官が単独ないしは複数で臨場するのが一般的です。
調査官の裁量
決裁の裁量があるのは上席官以上で、事務官、調査官は現場では基本的に裁量はありません。
覚えておいていただきたいのは・・・
事務官や調査官が指摘事項を声高に主張しても、こちらが自主的に修正申告しない限り、自身の裁量で「更正(税務署側が税額を決定する手続)」することはできません。
誤解を恐れずに私見を申し上げると、事務官や調査官は知識や経験が乏しい方もいらっしゃいます。通達を拡大解釈されていたり、状況証拠が不充分であっても決めつけて判断される例も少なくありません。
このような場合には調査官の指摘に屈せず、しっかりとこちらの主張を抗弁し、逆に調査官の落ち度を指摘することができます。
調査官も公務員とはいえサラリーマンであり、内規で縛られたヒエラルキーの中にいます。
サラリーマン心理を突くようなやり方ですが、場合によっては上位職の上席官や統括官に話をすることが早道の場合があります。(やはり上司に話を持っていかれるのは嫌なものです)
意地悪を推奨するものではありませんが、調査官の拡大解釈を咎めたり、誤解を解いたり、ストレスのかかる調査をなるべく早く簡潔に終わらせることを希望しているので、交渉術の一つとして行うこともあります。
調査官は十人十色だけど・・・
税務調査は調査官によってその結果が全く異なる場合があります。
前述した事務官や調査官の場合は、トンチンカンな指摘を逆手にとって交渉を優位に進めることができるかも知れませんが、上席官以上になると対応も変わってきます。
通達にも精通していて、勘どころも熟知している方の場合は、お互い余計な牽制せずに争点を絞って交渉した方がスムーズに終わるケースが多いように感じます。
明らかに誤りがあった場合などは素直に是正し、余計な交渉をしない方が傷口が広がらないかも知れません。
ただし、全員が全員、通達に精通して、税法に則って判断しているわけではありません。
上席官や統括官であったとしても、指摘根拠の裏付けが弱かったり、経験則のみで判断されているような不勉強な方も少なくありません。どうしても譲れない争点については悲観することはなく、徹底的に抗弁するべきだと考えます。
調査対象の優先順位が低いクリニックだと思ってもらう
完全に弊所の私見ですが・・・
調査官も公務員とはいえ勤め人ですので、追徴税額の多寡などがノルマや出世のタネのような側面があります。「叩いてあんまり出なそう=追徴税額が少なそう」だと思ったら、あっさり手引いてしまうケースもあるように感じています。
調査官も効率を考えるのは当然でしょうし、こちらの経理状況が非常に健全で、しかも「交渉慣れ」していると感じればば尚更かも知れません。
調査官全員が「税法の番人」ではありません。「脱税行為をしていそうな会社」「叩けば出そうな会社」は他にいくらでもあるのです。僅か1日~2日でクリニック全体を網羅することは不可能です。
クリニックの帳簿や証票類が整然として、我々のような税理士がしっかりと監査して、かつ交渉に長けて「叩いてもあんまり出なそう」と感じさせれば調査の結果は言わずもがなです。
当社では動物病院の税務調査に精通しており、院長先生のご不安の解消や不要な追徴課税から守らせていただいております。
税務調査でご不安、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付けくださいませ。