「税務調査対策」シリーズ2では、税務調査の事前準備の重要性についてご説明致しました。シリーズ3では、税務調査当日、特に午前中の打合せについて解説致します。 税務調査は「午前中の打合せ」が非常に重要で、ここで勝負が決まるといっても過言ではないと考えています。

午前中の打合せとは
税務調査の日程調整をする際、税務当局は通常2日~3日の日程を要求していきますが、弊所では出来る限り1日間で終わっていただくように努めています。
調査日程が1日でも、2日でも通常午前10時に調査官が臨場し、午前中の2時間程度を使ってクリニックの概要について質問されます。
税務調査は院長先生が1日中張り付いていただく必要はありませんが、この午前中の打合せは必ず出席していただかなければなりません。
質問内容は、開業までの経緯、業界の状況、クリニックの組織の概要、従業員数、飼い主さんの来院数、カルテや日報の管理、レジ回りのお金の出納等々、多岐に渡りますが、特にお金の流れや、クリニックとご親族~関連会社の関わりを深く質問されます。
シリーズ2で解説した「事前準備」をしておけばご心配無用ですが、一点だけポイントがあります。それは院長先生が「喋り過ぎない」ことです。
喋り過ぎないこと
税務調査は1日~2日で、大体過去3年分を見てきます。午前中に打合せを行うとして、1日であれば残り半日、2日であれば残り1日半。
たとえ残り1日半だとしても、それだけの時間で3年分の全貌を完全に精査することは不可能です。では、どうするかというと、午前中の打合せで「あたりを付ける」わけです。
「怪しいな」「臭いぞ」の部分に絞って、午後からの帳簿や証票類の実地調査に臨むのですが「喋り過ぎて」誤解や余計な情報を与え過ぎないことです。
質問に対しては事前準備していた回答を簡潔に行い、回答が難しい場合は「税理士に任せているので」と言って一呼吸おいて下さい。税理士も「事実を正確にお伝えしたいので、お時間を下さい」と添えれば、調査官も詰問するようなことはありません。
隠ぺいやミスリードさせることは租税回避行為ですので、我々税理士も絶対NGですが、調査官に余計な誤解を与えて、いたずらに調査期間を長引かせてしまうのはお互いに得策ではありません。調査官の質問に対してのみ簡潔に回答し、回答が難しい場合は後日の回答でOKです。税務調査は自ら過ちを開示して懺悔する場ではありません。調査には協力しなければなりませんが、自ら傷口をさらして広げる必要はないのです。
簡潔に終わらせるためにも喋り過ぎない
動物病院の税務調査の争点は非常にシンプルです。しっかりした税理士が顧問していれば、争点になりそうな売上高の計上時期やご親族や関連会社の関わり方等は、予め説明できる準備は整っているはずです。全然見てもらって構わない状態であるのが通常ですので、後は時が過ぎるのを待つのみです。
税務調査は追徴税額も嫌ですが、何より心的ストレスを負担に感じます。たとえ潔白であったとしても調査官の質問は警察や検察官の尋問のように感じるものです。
場合によってはこのストレスから逃れるために、調査官によって拡大解釈された指摘事項を丸呑みして、ありもしない追徴税額を支払ってでも終わらせたいとお考えになる院長先生もいらっしゃいます。
「喋り過ぎること」は、この嫌なストレスのかかる調査期間を引き延ばす一番の要因です。
余計な追徴税を課されないことも勿論ですが、ストレスのかかる時間を短縮するためにも「回答は簡潔に、喋り過ぎない」です。
当社では動物病院の税務調査に精通しており、院長先生のご不安の解消や不要な追徴課税から守らせていただいております。 税務調査でご不安、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付けくださいませ。